LIVE REPORT
「70万人が見届けた、
Saucy Dog初の配信ワンマンライブ、
ライブレポート」
Saucy Dogによる初のオンラインライブ「Saucy Dog オンラインワンマン Studio Live」がLINE LIVEにて無料配信された。9月2日にリリースされた4thミニアルバム『テイクミー』のリリース記念として配信されたこのライブは、新型コロナの影響により、3月に予定していた全国ツアーが中止になったSaucy Dogにとって、約9ゕ月ぶりのワンマンライブ。東京・Bunkamura Studioにて、この日のためだけに撮り下ろされたライブ映像に加えて、メンバーの生トークを挟んだ90分間は、総数70万人の視聴者が見守り、『テイクミー』収録曲のほか、代表曲など全13曲が披露された。
映像は、今回のライブ配信に対するメンバーのインタビューからはじまった。生配信ではなく、収録だからこそ、「3人の空気感を伝えたい」と、せとゆいか(Dr)が意気込みを伝える。普段のライブと同じように3人がこぶしを合わせ、演奏は「煙」からスタート。石原慎也(Vo)の伸びやかなボーカルにあわせて、スタジオならではの研ぎ澄まされた集中力によって、スリーピースの丁寧なアンサンブルを生み出していく。続けて、疾走感あふれるサウンドに未練と後悔を綴った「Wake」、ワン、ツー!のカウントで突入した「雀ノ欠伸」から、石原の「秋澤和貴!」という声を合図に、秋澤のベースラインが暴れた「ナイトクロージング」へ。時折メンバー同士がアイコンタクトをとり合い、笑顔を見せながらライブは進んだ。ライブハウスさながらの美しい照明が楽曲の世界観とリンクした「真昼の月」では、音源では伝わりきらないライブならではの熱量を画面越へと伝えた。
序盤5曲を終えたところで、チャット欄に表示されるコメントを拾いながら生トークを展開。Saucy Dogのライブを初めて見た視聴者の書き込みに反応したせとは、「新しい人にも見てもらえてうれしいね」と声を弾ませた。石原が「次の曲は、僕たちが書いた初めての失恋じゃないラブソングです」と紹介したのは、『テイクミー』に収録されたバラード曲「結」。遠回りしながらも、大切に時間を重ねてゆくふたりの物語を優しく歌い上げると、コロナ禍に緊急配信された「BLUE」に続けて、「メトロノウム」「いつか」といった彼らのライブでは欠かせない楽曲たちが披露され、チャット欄の視聴者の反応も盛り上がりが加速してく。
9月2日に発売されたミニアルバム「テイクミー」収録の夏の煌めきが眩しいドラマチックな恋のうた「シーグラス」、更にライブでも定番の楽曲「ゴーストバスター」を披露。ラスト1曲を残したところで、「今日のライブはやってみて良かった」と、石原。「いまできることを自分たちで考えてやれたことはすごく大きいと思う」と手応えを噛みしめるように言うと、「これからもがんばっていきましょう、3人で」と、メンバーに語りかけ、ラストナンバー「スタンド・バイ・ミー」へ。リリースされた当時の意味を超え、その歌を、いま先の見えない毎日を懸命に生きるすべての人へのエールソングのように力強く届けると、「最高!ありがとう!」と会心の笑顔を見せて、ライブ本編は幕を閉じた。
最後の生MCでは、「やっぱりアンコールやりたかったな」という石原の言葉から、サプライズでアコースティックによる生演奏が繰り広げられた。「作ったのは5、6年前だけど、コロナ禍で伝えたい想いが詰まってる気がするので、最後はこの曲で締めくくります」と伝え、せとがキーボードを奏で、ドラムレスの穏やかなサウンドにのせて、不安を抱きながらも、必死にもがく人間の生々しい姿を綴った「世界の果て」で終演。最後は、せとが「絶対にライブハウスで会いましょう」という約束を交わし、配信ライブを締めくくった。
今回の配信映像はアーカイブには残らないが、演奏された楽曲の中から5曲のライブ映像が9月9日よりLINE MUSICで独占配信される。なお、Saucy Dogは、9月22日からは、最新ミニアルバム『テイクミー』を携えた全国ツアーをスタートするほか、来年2月5日にはバンド史上初となる日本武道館単独公演も決定している。メンバー全員が「自信作になった」と太鼓判を押す『テイクミー』の楽曲たちが、お客さんを迎えるライブ空間のなかで高らかに響くことを願っている。
ライター:秦理絵
写真:白石達也
<セットリスト>
1.煙
2.Wake
3.雀ノ欠伸
4.ナイトクロージング
5.真昼の月
6.結
7.BLUE
8.メトロノウム
9.いつか
10.シーグラス
11.ゴーストバスター
12.スタンド・バイ・ミー
en.世界の果て